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北海道の最低賃金1,131円へ(答申) 10月までに備える3つの数字

8月5日、北海道の最低賃金を56円引き上げ、時間額1,131円とする答申が出されました。ただし、これはまだ確定した金額ではありません。正式な決定はこれからで、効力が生じるのは10月1日の見込みです。
とはいえ、確定を待つ間にも準備は進められます。押さえておきたい数字を3つに絞ってご説明します。
数字① 56円 —— まだ「答申」の段階です
北海道の最低賃金は、いまの1,075円から1,131円へ。引上げ額は56円、率にして5.21%です。道内で1,100円台になるのは初めてになります。
ここで大切なのは、8月5日に出たのは「答申」であって「決定」ではないという点です。この後、異議申出の受付などの手続きを経て、正式に決まります。効力が生じる日も、現時点では「10月1日の見込み」という段階です。
ですから、就業規則や賃金の改定は、正式決定を待ってからで差し支えありません。一方、資金繰りの見通しは答申の数字で先に立てておくと安心です。仮に変更があっても、試算をやり直せば済むためです。
| 年度 | 最低賃金額 | 対前年引上額 |
|---|---|---|
| 令和4年度 | 920円 | 31円 |
| 令和5年度 | 960円 | 40円 |
| 令和6年度 | 1,010円 | 50円 |
| 令和7年度 | 1,075円 | 65円 |
| 令和8年度(答申) | 1,131円 | 56円 |
数字② 対象時間 × 56円 —— いくら増えるのか
自社への影響は、次の計算でおおよそつかめます。
影響を受ける従業員の月間労働時間の合計 × 56円
たとえば時給1,075円の方が5名、それぞれ月120時間働いていれば、合計600時間。56円をかけて、月およそ33,600円、年間で約40万円の増加です。社会保険に加入している方であれば、会社負担の保険料も一緒に増えます(協会けんぽ北海道支部の令和8年度は健康保険10.28%、厚生年金18.3%。いずれも会社と本人の折半)。
もうひとつ、この増加を売上でまかなうといくら必要かも見ておきたいところです。粗利率30%の事業なら、月33,600円に対して月11万円ほどの売上増が必要になります。
なお、自社の時給が最低賃金を上回っているかを確かめる際は注意が必要です。賞与、残業代、通勤手当、精皆勤手当、家族手当などは計算に含めません(厚生労働省が6種類を定めています)。通勤手当を足して「1,131円を超えている」と考えていると、実際には下回っていることがあります。
数字③ 9月1日 —— 助成金の受付が始まります
打ち手は、価格に反映する・生産性を上げる・助成金を使う、の3つです。
このうち業務改善助成金は、令和8年度の申請受付が9月1日に始まります。事業場でいちばん低い賃金を引き上げ、あわせて設備投資などを行った場合に、費用の一部が助成される制度です。助成額の上限は引き上げる人数で、助成率は引上げ前の賃金水準で変わります。対象は、雇用保険に加入し入社から6か月を過ぎた従業員です。詳しい要件は申請前にご確認ください。
相談先として、北海道労働局は北海道働き方改革推進支援センター(0800-919-1073・平日9時〜17時・通話無料)を案内しています。
NMOの視点
最低賃金の改定は、10月に一度に効いてくるわけではありません。賃金の締日と支払日の関係で、実際にお金が出ていくのは翌月以降になることが多く、10月から年末にかけてじわじわと資金繰りに表れます。
おすすめは、資金繰り表の10月以降の人件費に、いま試算した増加額を先に入れてしまうことです。そのうえで、毎月の返済がこれまでどおり回るかを確かめます。もし苦しくなりそうなら、9月のうちに金融機関へ相談する時間が残ります。年末や決算期に慌てて相談するより、「最低賃金の改定を織り込んだ資金繰り表」を持って早めに伺うほうが、受け止められ方は違ってきます。
補助金・財務のご相談は、株式会社西山マネジメントオフィスへ(経営革新等支援機関/M&A支援機関)。最低賃金の改定を織り込んだ資金繰り表の作成、業務改善助成金を使えるかどうかのご相談も承っております。
※本記事は2026年8月17日時点の情報です。記載の最低賃金額は答申の段階であり、正式決定までに変わる可能性があります。最新の情報は北海道労働局の発表をご確認ください。
出典:北海道労働局「令和8年度北海道最低賃金額の改正を答申」(2026年8月5日発表)/厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」/厚生労働省「業務改善助成金(令和8年度)」/全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率」